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セピオライトの特徴

三つの特性

セピオライトには、大きく三つの基本性質があり、この基本性質を利用して様々な工業用途に使われています。

1)大きな吸着性能

2)揺変性や可塑性に特異なレオロジー特性を示す。

3)乾燥固結性

※セピオライトの結晶構造
セピオライトの結晶構造

セピオライトの単位格子は、1つずれた配置を繰り返して上図のように鎖状に繋がっています。カオリンやベントナイトなどが層状粘土と呼ばれるのに対し、セピオライトは鎖状粘土に分類されています。

格子間には規則的な隙間(下図黄色部分)があり、黄色の小さな細孔は、大きさが5.6×11Å程度になります。図の垂直方向に結晶は成長して繊維状となり、繊維内には細長い空孔が生じます。スペイン産で繊維長5μm、繊維径0.1~0.2μm程度になります。

また、セピオライトには繊維内の細孔のほかに、繊維間に出来た空隙(下図赤色)があります。大きさが200Åぐらいで、液状のものを毛細管現象で吸い上げるような性質があり、水を掛けると音を立てながらあっというまに吸い込んでしまします。

※ピオライトの繊維構造図
セピオライトの繊維構造図

1)大きな吸着性能

セピオライトの大きな吸着性能は上図レンガ積みのような構造の為だと思われます。比表面積が230~300㎡/g程度有り、ガスや液体の吸着に優れています。地場の欧州では、ペット用トイレの吸着剤として、さらにし尿のにおいも吸着することから盛んに使用されていますし、日本でも湿気対策や脱臭処理剤などに多く利用されています。

また、セピオライトは吸油能力が非常に高い性質があります。当社が販売している粒状グレード(4-30メッシュ:約6mm)で自重の60%ほどの油を吸着し、さらに小さく粉末状にするとその吸油能力は2~3倍になります。これらの能力で、作業中に薬剤、酸や毒物が床などにこぼれた際、セピオライトを撒かれると緊急処理剤として非常に便利ですし、農薬などを吸着させる担体としての利用法などもあります。

※※指先につくセピオライト
指先から落ちないセピオライト(拡大)

2)特異な揺変性や可塑性

セピオライトを水に入れてぐるぐるかき回すと、粘性に変化が起きます。普通は時間がたつと沈降してしまいそうですが、セピオライトの場合は水に分散したままの状態です。これはセピオライトの繊維がよくかき混ぜることで絡み合うために起こると考えられています。強く混ぜれば粘度は小さく、弱いと粘度が大きくなるという現象(揺変性)が見られます。 この性質を利用して、国内では塗料系の増粘剤として使われています。

※水でよく撹拌した状態
セピオライトの揺変性(拡大)

3)乾燥固結性

セピオライトを水に分散させたペーストを、自然乾燥させると収縮はするものの、その形で固まる性質があります。さらに熱を加えていきますと焼結が起き、セラミック状になります。100℃付近で結晶内の沸石水が脱水し、300℃付近で結合水が脱水し始めます。600℃に達すると結晶水はなくなってしまい、固く焼結します。溶媒への分散能はなくなってしまいますが、固結した多孔質体を得ることができますので、他の無機材と組み合わせて国内では応用されたりしています。

※セラミックボール
セピオライトのセラミックボール(拡大)

<参考文献・書籍>

「地質ニュース第385号 新素材セピオライト-近くて遠い粘土」/下坂康哉・和田猛郎

「粘土科学への招待 ~粘土の素顔と魅力~」/須藤談話会編

「アスベスト代替品のすべて」/財団法人日本環境衛生センター

「粘土と暮らし」/倉林三郎

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